9/1立命館大学戦レポート
学生からの黒星を防いだのはライナーズ5年目のSHだった。
Bチームが対戦した立命館大学とのオープン戦で、北村一真に代わって後半出場した帝京大学出身の福地達彦がトライ・パスと自らのトライで19-15の勝利に貢献した。
9月29日に開幕する関西大学Aリーグで優勝候補最右翼にいる立命大。1人目が下半身に、2人目が上半身に入るタックルを徹底したり、ターンオーバーの好機と見るや、3人目、4人目とボール争奪の局面に飛び込んでくるなど、ライナーズは磨き抜かれたデイフェンスに苦しんだ。
前半は7-7の同点で終了した。福地がまず魅せたのは、後半7分だ。ラインアウトからのタップパスを受け、最後尾を抜ける。NO8天満太進に内返しを放ち、チーム2本目トライをアシストした。
続く16分、ラック左サイドを駆け抜け、今度は自分で相手インゴールに飛び込んだ。19-7とリードは広がった。
パナソニックワイルドナイツに0-48といいところなく敗れた翌日、福地のランは一筋の光明になった。相手の穴を見つける観察力、マーカーを一瞬で振り切るダッシュは、連敗、さらには格下の大学チームへの敗戦予感を一瞬で変えた。
「自分の中では今日はそこそこできたと思う。でも、FWとのコミュニケーションがもう一つだったり、パスミスがあったりした。まだまだ課題はある」。達成感に浸らず、向上心は強い。
ラグビーが好きで、自ら諦めず困難に挑戦するのも福地の長所だ。兵庫・甲南中学でラグビーを始め、エスカレーター式に甲南高校に進学した。FBなどでオール兵庫に選ばれたりしたが、全国大会出場経験はない。進路は関東の強豪でのプレーを求め帝京大にした。一軍出場経験はない。「でもレベルの高い所でやれるのは楽しかった」。ライナーズに加わったのも、トライアウトを受けた結果だ。
1年目は左ヒザ前十字じん帯断裂、2年目は左足首脱臼骨折。ベテランなら選手生命に関わるような大ケガに見舞われながら、希望を捨てなかった。3年目は初めてシーズンを全うした。4年目の昨年は初めてリザーブメンバーにも選ばれた。確実に進歩を遂げている。
前田隆介監督は期待を寄せる。「福地は少しずつよくなってきている。他のSH3人と良いポジション争いをして個を磨いてほしい。まだまだ成長してもらわないと。」
福地はライバルたちを冷静に捉える。「金さんは間違いを正解にできる能力の高さがある。北村さんはSHとしてセンスが一番ある。森はテンポを上げていける」
福地は自分自身の生き残りは「ディフェンス」と言い切る。今日はオフェンスでアピールできた。強みを出せることができれば、5年目で初のトップリーグ先発出場も夢ではない。
(文:スポーツライター 鎮 勝也)
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